Drawing 2007-2008
もうすぐ梅雨の季節ですね。そういえば丁度10年前の梅雨の時期、私は水たまりをみつけては写真を撮り歩いていました。雨の音や匂いは、普段使わない五感を刺激してくれます。
今回は、テレビモニター・クリスタル・水たまりを並行して描いていた頃のドローイングをご紹介します。
こちらは大学の卒業制作で描いた、テレビモニターです。
前年からのシリーズでしたが、どこにも辿りつけないイメージの消失に、少し虚しさを感じていた時期でもあります。
こちらは、見る角度によって色が変わるクリスタルガラス。
綺麗すぎるくらいにキラキラと輝く姿に魅せられながらも、怖さを感じながら描いていました。ものが持つ「色」とは一体なんなのか。光とはなんなのかを問われているようです。
テレビモニター・クリスタル・水たまり。
どのモチーフにも共通する点は、固有色がなく、変幻自在。
異なる複数のイメージが共存している点です。私は、それらを目撃した時、自身が世界をどう受け入れているのかを突きつけられているように感じます。
描き進めていくうちに、水たまりに重点を置くようになりました。
空 コンクリート 家 落ち葉 鳥 ビル 樹木 etc…
沢山のイメージを映し出し存在している、虚像であり実像でもある光景。
別々の世界のモノが、一つの光景として立ち現れる場所に興味をもちました。
モノクロは鉛筆、カラーは透明水彩を使用しています。先に白い紙に水だけを含ませた刷毛で紙を濡らしてから、絵の具のついた筆で描くことで独特のにじみが発生します。
消えると同時に現れるモノ達に、生と死は別々のものではないと教えられたように思いました。
梅雨の時期、足元の光景をちょっとだけのぞいて見てください。ありふれた風景の中に、まだ見たことのない世界が広がっているかもしれません。
ご訪問ありがとうございます。
林真衣
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