とおのおと開催報告Vol.2
私には小学生の子供がいます。日々子育てをしていると、自らの幼少期の思い出がオーバーラップすることが多々あります。
そんな中「とおのおと」のお話をいただき「面白そう!」と思う反面、初めは少し複雑な気持ちでした。私は小さい頃、小学校という場所が、あまり好きではなかったからです。
今の小学校はだいぶ変わってきてるかも?しれませんが、みんな同じようにしていて規律を守り、みんな同じ正解を求めて、ビシッと整列。
「全員前に前にならえ〜〜!!」の世界。
はみ出すと目をつけられる。みんなどこかでそれを恐れて同じように行動する。
そういった空気感が大嫌いでした。
ただでさえ目立ってはいけない場所なのに、紫外線予防のために私は一年中長袖、大きめの帽子。毎年夏休みには頭の皮膚移植の手術をするので丸坊主。
ウイッグをつけていて登校していたので、それがバレないように毎日必死でした。出来るだけ目立たないように行動して、周りに余計な心配はされないように、いつも笑顔を心がけていました。
「マイちゃんはいつもニコニコしているね!」と言われるくらい、作り笑いは上手になりました。(笑)しかし大人は騙せなかったのか、親戚や担任の先生には「何を考えているかわからない」と言われたことがあります。(苦笑)
大人になり子供をもって、初めて親の気持ち「子供を守りたい」という思いがやっとわかってきました。母はなんとしてでも、人の好奇の目線と紫外線から我が子を守りたかった。
ただその一心だったことが、今なら少しわかります。
まだ幼かった私は、こんなにも恵まれているのに、同じように振る舞えるみんなが羨ましくて、仕方がありませんでした。
そんな中、白い紙はいつも私に平等にひらかれていているようで、逃げ場であり初めての友達でした。
クラスの子と描いた絵を交換しあったり、手紙を書いたりしているうちに、友達ができました。自由帳は私のコミュニケーションツールになっていたように思います。
ほぼ30年ぶりに再会する自由帳や作品たち。
当時の興味の対象と、絵への執着心が丸見えで、かなりの恥ずかしさもありましたが、展示の後半ではいい意味で麻痺してきて‥‥(笑)
羞恥心を飛び越えて楽しんでいたのを思い出します。
今回は初めて写真作品も展示しました。
小学校は誰もが、通ってきた道。
帰り道の寂しさや、風の音、汗と遊具の鉄の匂い。
廃校になって今はとても静かな小学校ですが、かつてこの小学校に通った子供達の声を想像しながら、周囲を歩き撮影しました。
そして展示の後半には、今回の二人展示で描いた絵のドローイングも展示しました。
過去から現在への流れを行ったり来たりして見てもらえるように、幼少期の記憶とリンクするように、一直線ではなくあえて小学校の掲示板のような展示を試みました。
自然光によってときおり表情を変える作品たち。
この廊下をぬけて、次は二人展示のスペースに続きます。 林真衣
撮影 林直
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